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2012年12月 5日 (水曜日)

忘れるものか

Pr_kanku


 6時30分起床。

 いつもは目が覚めたらすぐ起き上がるのだが、今朝はベッドの中でiPhoneを見た。すると、信じられないニュースが。


 中村勘三郎、死去。


 入院していたことは知っていたが、絶対に元気になって舞台に復帰すると信じて疑っていなかった。

 茫然自失。

 テレビをつけると、どのチャンネルもこの事を報じている。

 しばらく見入るが、どの番組も速報の域を出ない。

 しかし……食道癌はともかく(初期に発見されて手術は成功したというのに)肺炎から呼吸困難って……。

 あれほど元気で休みも取らず、エネルギッシュに芝居に出続けていたのに。歌舞伎座でのオーソドックスな歌舞伎から、コクーン歌舞伎、そして野田秀樹などとの現代劇での共演。

 もちろん面識はないが、親しくしていた快楽亭からその素顔はいろいろと聞いていたので、会ったことがない気がしない。

 親戚の凄い人、という感じの親近感があった。歌舞伎役者で、こんな親近感を持ってしまう人は他にいるだろうか?

 偉くなっても偉ぶらず、新たな仕掛けを常に考えている永遠の悪戯小僧のような人。しかもそれを成功させてしまう驚異の人。

 ワイドショーを見ていると、「実は……」という話をする人が数人いた。年を越せるかどうかという状況を聞いた関係者もいた。

 しかし演出家の串田和美は「手術前に『どんな手を使っても治るからな』と言っていた」と。その手術は成功したのに……。

 勘三郎のことだから、本当にどんな手を使ってでも舞台に戻ってくると、おれも信じていた。

 しかし、人間というものは弱いものですな……あんなに生命力に満ちあふれていた人でも、いったん弱ると、ガタガタっといってしまうなんて。

 おれがこんなに無念なんだから、当人の無念さは如何ばかりだろうと思うと、もう、なんだか悲しくてたまらない。

 悲しいが、腹は減る。

 芸大脇の店に弁当を買いに行く。デミグラスソースのかかったハンバーグが食いたくなったので、ハンバーグ弁当。

 帰宅して、残った味噌汁を温め、食べる。ハンバーグに椎茸と肉のフライが入っていた。かなり満腹。

 そのあとだからお昼ごろか、快楽亭から電話があった。

「逝っちゃいましたね……」

 と。声がすごく沈んでいた。快楽亭は、人工肺を付けているという段階で、覚悟はしていたらしい。

「声が出なけりゃ、舞台は無理でしょう」

「でも、舞台にいるだけでも」

 と言いかけたが、そんなことで勘三郎が満足するはずがない。舞台狭しと大車輪で暴れたいはずだ。もちろん静かな芝居もあるとはいえ。

 おれは快楽亭の世話でチケットを取って貰って中村屋の歌舞伎は通っていた。それで歌舞伎が好きになった。

 初めてのコクーン歌舞伎が「東海道四谷怪談」だった。あの時の興奮は今でも覚えている。

 暗転したとき、客席でキャーッという悲鳴が上がった。火事か?と思ったら、お岩さんの勘三郎が客席に座っていたのだ。

 歌舞伎って、こういう事もアリなのか!

 という衝撃。しかも、シリアスで怖い芝居の中に、突然ギャグを放り込んで満場を湧かせてしまうが、すぐに元のシリアスで怖い芝居に戻る。かと思ったら、またギャグをかます。

 この変幻自在は、なんだ!

 完全に観客を操っていた。

 勘三郎の芝居に身を委ねる快感。

 これは、他の役者にはないもの。仁左衛門も凄いし、菊五郎も凄い。幸四郎は立派だし猿之助も素晴らしい。しかし、あの愛嬌は、勘三郎に並ぶ者はいないんじゃないか?

 去年のコクーン歌舞伎の「盟三五大切」は永遠に記憶に残る素晴らしい舞台だったが、勘三郎は出ていない。それが当人は凄く悔しかったらしい。が、おれたちが見に行った日は、でラストに特別ゲストという感じで大星由良助の姿で現れた時の会場の興奮は凄かった。芝居が狂いかねない特別出演だったが、今にして思えば、いいモノを見せて貰った。

 ……なんかねぇ、ただの役者、それも偉大な役者が亡くなったという感じじゃないんですよ。おれにとってのアイドルだったんだなあ、と思います。

 あんな愛嬌ある、エネルギーの塊の、進取の精神に富んだ、歌舞伎を愛した、役者は他にいるだろうか?巧い役者、魅力ある役者はいますが、自分の劇場を建てたり海外公演をどんどんやったり、新作をどんどんやったりする人は……。

 忙しすぎたんだなあ……。本人は忙しくしていたかったし、やりたいことが山ほどあったんだろうけど……。

 藤本義一が川島雄三のことを書いた「生きいそぎの記」じゃないが、もっとスローダウンしていれば、病気のほうが逃げていって、ずっと健康なままだったんじゃないかと……。

 少なくとも、あと30年は舞台で会えると思っていたのに。

 そう信じて疑わなかった。

 それだけに、ショックが大きい。

 なので、昼過ぎまでメソメソしていた。ワイドショーを見ると泣いてしまうので、テレビを消して、パストラミ・サンドを作って食い、仕事にかかる。

 「悪漢刑事10」のプロット。

 テニスに行くまでに書いて、相方に送らなければ。

 しかし、書けない。

 嶽本野ばらの「破産」を読み返す。

 この本は、自分を奮い立たせるために書いたんだな、と判った。いや、違うかもしれないけど。

 借金を作ってしまって自信を失って凹んでいたが、なんとか立ち上がる話なんだな、と。それが判ると、なんだか感動的なのだ。

 今はキツい状態だけど、もっとキツい状態の作家はたくさんいるぞと。そりゃそうなんだけど、凹んだ魂が輝きを取り戻しはじめる話なんだから、他人への配慮なんかしてるヒマなんかない。

 ちょっと元気になった。

 アマゾンから、参考資料に買った本がどさっと届くが、既にあった本を読み直すと、全体像が見えてきた。

 細かな展開やエピソードはまだ浮かんでいないが、骨格は見えてきた感じ。

 そこまでを書いて、相方に送る。

 外出の時間。

 テニスの支度をして、出発。

 外は寒い。

 曳舟駅前で「ジャンボ肉まん」を買って食う。まあまあですな。

 テニスは、コントロールが定まらず、大飛球かネットしてしまって、宜しくない。

 試合も、相手のミスで勝っただけで、いいところナシ。

 腕を振り抜かなかったので、明日になったら右腕が痛いぞ、これは。

 整理運動の意味も含めて、プールで泳ぎ、ロングブレスをやって、風呂。足や腕を揉みほぐす。

 で、夕食。迷ったが、ペッパーランチに行って「ベーコンチーズペッパーライス」を食べようと思ったのに、曳舟ではやっていなかった。じゃあってんで、第二希望のハンバーグライス。そういや昼もハンバーグだったなあ。

 しかしペッパーランチのハンバーグは美味くない。だったらロイヤルホストに行けば良かった。

 21時30分頃に帰宅。

 くーたんにご飯を出し、キャットツリーで待機しているくーたんにブラシをかけたり抱っこしたり。

 「報道ステーション」で勘九郎と七之助の記者会見を見る。勘九郎は舞台での口上で「父の事を忘れないでください!」と言ったが、忘れるわけ、ないじゃないか。裕次郎の歌じゃないけど、「忘れるものか」だ。忘れようったって、忘れられない。

 で、この日記の写真は、いかにも歌舞伎座に飾られそうな感じに撮れているものを選んだ。

 「孤独のグルメ」は録画して、「マツコ&有吉の怒り新党」を見る。この二人の意見にはだいたいは賛同するのだが、今夜の「クラシック・コンサートでのフラブラ」に対して有吉は「そんなのいいじゃないか」と言ったのには、判ってないなあと思った。有吉自身、クラシックを聴かないんだから、知らないことにテキトーな事を言うべきじゃない……と思っていたら、別の話題になった時に、「いろんな人に、ワタシは違う考えなんですとか言われるのがウザイ」「これは別におれの考えを押しつけようとしてるんじゃなくて、ダメな二人の個人的な意見というか、ただのダメ野郎の雑談だから」と言っていた。そりゃまあそうなんですよね。でも、自分の意見を持たない付和雷同の「B層」(広告代理店が自民党に出したプランで、国民をABCDに分類して、マスコミに流される頭の悪い層をB層としてA層にコントロールされる存在だし、このB層の票を戴くことが選挙に勝てる、とした。それは当たっていると思うが、じゃあC層D層ってなに?)な人たちは、有吉やマツコの個人的意見に付和雷同して、コンサートで我先に拍手したりフライングブラボーするバカが増えそうで憂鬱だ。マツコはクラを聴いていて、「でも時々、終わったあとシンとして、観客が息を飲んでる時はあるのよ」と言っていた。そこまで言うなら、余韻を味わいたいのを邪魔するフラブラを叩けよ!と思うんだけどね。

 番組終了と同時に、就寝。

本日の体重:

本日の摂取カロリー:2133kcal

本日の消費カロリー:日常生活+702kcal+165kcal/2864歩

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