エッセイを読みふけりつつ、第1章あげる
7時起床。
晴れ。
朝のモロモロをやっていると、宅急便。小林信彦の「新版・われわれはなぜ映画館にいるのか」と「私の東京地図」が到着。小林さんの本はすべて買う。新装版でも再編集版でも買う。心の師匠だから。
「われわれはなぜ映画館にいるのか」は飛び抜けた名著で、映画をどう見るかどう論じるかの小林信彦のエッセンスがぎっしりと詰まっている。おれはこの本に感化されて日活アクションと「仁義なき戦い」のファンになったし、アクション映画の作法について学んだ。この本と「世界の喜劇人」「日本の喜劇人」は小林さんの評論家としての三大名著であるし、長く後世でも読み続けられるだろう。
で、「新版われわれは……」では鈴木清順に関する文章が削除されている。どういう心境の変化か。そして単行本未収録だった数本の評論と対談が入っている。
「私の東京地図」は、生粋の江戸っ子で下町っ子である小林信彦の3冊目の「東京論」。昨今の「下町論」を一蹴出来るのは小林さんとか永六輔とかアラーキーくらいではないか。おれも感化されて「北千住や浅草が下町だってよ!」「世田谷が山手だっていうバカは誰だ」と鼻先で笑うのだが、おれは小林さんの本に感化された田舎者でしかない。
昨日、アマゾンのユーズドでまとめ買いした村上春樹の「村上朝日堂」も、気になって拾い読む。
おれはユーズドでは買わないようにしている(買っても著作者の利益にならないから)が、村上さんならそういう心配をしなくてもいいでしょう。
エッセイはだいたい1本の原稿が短い。だから仕事の合間に読める。それに、他人様の小説を読むとなると、同業者としてそれなりの覚悟が必要になるので、おいそれとは読めない。というか、小説を書いていると、他人の小説を読む余力が無い。読まなきゃいけないし読むべきだと思うのだが……。
しかしエッセイだと、頭の別の部分を使うからか、スイスイ読めるし、読書の楽しみも味わえる。1つ1つが短いので、おかしを摘まむように「もう1本もう1本」と読み進んでしまう。小説の場合は短編やショートショートでもこうはいかない。ついつい、作法とか表現とかを「学ぼう」としてしまうからなあ……。
「村上朝日堂」シリーズをまとめて読んでしまうと、時系列的事実を誤認してしまう。というのも、村上さんのエッセイには銀行への文句と、有名人になった面倒くささ、小説家としての(日本での)生き難さが繰り返し出て来るからだ。
テレビで某作家が「村上春樹はもうダメだ」と言ったのを見ていた銀行の融資担当者がローンを組んでくれなかったりとか、店をやっている時代に小切手を振り出す当座預金口座を開設する必要があるのにどこの銀行もやってくれなかったのに、某銀行は親切にしてくれてそれ以来贔屓にしているとか……。
似たハナシが登場するので、一気に読むと、こんがらがってしまう。「若大将」シリーズをまとめて見ると田沼雄一のやるスポーツと澄子さんの職業が作品的にごっちゃになるのと同じで……。
自分でも引っ越し魔だと認めている村上さんが長期的に日本を離れてヨーロッパで暮らすことになった「原因」がなんだったのか知りたくて、いろいろ調べていたら、村上さんの転居歴を詳細に調べて、その「足跡」を現地調査したサイトを見つけた。ファンにとっては労作だなあと思うのだが、村上さんにとっては迷惑な話かもしれない。
おれは、引っ越しは大嫌いだ。誰かがすべてをやってくれるとしても、自分のまわりは自分で整理したいから、どうしても落ち着くまで時間がかかるし、新居に似合う家具を入れ替えたいし、それをIKEAで買ってしまったりすると、数日間、組み立てにかかり切りになるし。
前回の引っ越しは、とにかく「何も捨てず何も買わない」主義で、比較的収納スペースが広かったので、とにかく荷物を押し入れに押し込んだので、数日の混乱で収束したが、そのツケが今回の引っ越しに来た。
新居の収納スペースは少ないので、不要品を厳しく選別し始めたら、ゴミ同然のものが山のように出てきた。こういう事は前回やっておくべきだったのだ。不要なものを新居まで運んでしまったので、新居の段ボールの山はしばらく減ることなく……新しい家具を毎日組み立てて腕が痛くなり、その分仕事が進まず……。
1年かけてようやく、イメージ通りの部屋を作ることが出来たが、この苦労は当分したくない。10年はここに住みたい。転居にまつわる書類的な手続きも面倒だったし。
だから、最短1年で引っ越しをする村上さんの「引っ越し好き」だけは理解出来ないのだ。生活をリセットできる利点は認めるけど、こんな面倒なことを何度もやる気力は、おれにはない。
生活していて、エントロピーが我慢できなくなるくらいに増大したり、家賃が払えなくなってきたら引っ越しを考えなければならないけど……。
とはいえ、気軽にあちこちに住み替えることが出来れば、それはそれで楽しいだろうなあ。
本拠が決まっていて、「そのときの生活空間」だけを引っ越すとか。いやそれでも、本とかCDとかMac関係とかは身の回りに置いておきたいから、やっぱり引っ越しは大変なことになる。
まあ、すべての本を読み返してはいないから、蔵書は「本拠地」に置いておけばいいのだろうけど……。
ま、それもすべて、財力があってこその話。世界的文学者の真似は出来ない。
で。
あと少しであがるはずの「第1章」。久々に「濡れ場」を書く。さすがにデビュー当時のように濡れ場を書くときにテレはなくなったが、しばらく書いていないと、作法を忘れてしまったような感じ。
それを思い出しつつ、書く。
ブランチはご飯に目玉焼きを乗せてかき混ぜたヤツに味噌汁、白菜の漬け物。
午後にグリル・プレートを使ってマルゲリータのピザを1/3焼く。今度はほぼ完璧に上手く行った。
それと、厚切りのトースト。
で、えんえん10日書けて20ページ書いてきたが、今日は半日で18ページほど書いたぞ!
ほぼ出来上がる、というところまで来て、ふと、根源的疑問が湧いたのでストップ。光文社文庫「涼次」シリーズの主人公・涼次はいわゆる「壊し屋」「別れさせ屋」なのだが、この仕事はどこまでやったら「任務完了」になるのか?探偵じゃないから浮気の証拠写真を撮るだけじゃこの商売は成立しない。今回のプロット的にはどうしよう……。
夜、町屋で相方と食事。ひさびさの「ときわ」。テーブルの隣にはジイサンのグループが陣取っていて、みんな耳が遠いから声がでかい。しかも喋るのが大好きだから、みんな大声で喋る喋る。こっちは相方の声が聞き取れないほど。
あじのなめろうの定食に、牛肉エリンギ炒め、野菜天ぷら、新タマネギのスライスを相方とシェア。
食べながら、村上春樹について話す。
おれは、村上春樹の小説の熱心なファンではないが、エッセイスト、村上春樹の大ファンだ。
小説はもの凄く面白いのにエッセイはつまらない作家もいるし、両方面白い人もいる。小林信彦は、完全に評論家としても超一流だ。当人は映画評論は若いウチに止めてしまって、以降は趣味として書いていると言うが、やっぱり小林さんの映画に関する文章は鋭いのよね。日記的エッセイ・雑文も好きだし。
村上さんのエッセイは、読んでいて爆笑するほどユーモアたっぷりで親しみやすい。でも、小説は、おれの場合、どうもその世界に入っていけない感じがある。ウチに本(中期以前だが)はあるから読んだはずなのだが……。
で、食事を終えてケンタッキー・フライドチキンに場所を移して、仕事の打ち合わせ。第2章をどうするか。
この話はすぐにまとまる。第1章に関しても設定の食い違いがあったので、修正することにした。
帰宅して、ちょっと休憩。夕刊を読む。梶芽衣子の回顧談が始まった。強気の性格が災いして干された時期があったのね。この人は東映に移って花開いたよね。何と言っても「さそり」だもんなあ。このひとのキツい目で思いっきり睨まれたいと思う男は多かったはず。って、団十郎の「睨み」か?ま、似たものがあると思う。
で、第1章に手を入れて、あげる。1日20ページを毎日書ければ、1ヵ月に1冊書き上げられる勘定になるが、それは不可能な話。しかし、ピッチを上げなきゃいかん。
選挙制度改革は、民主党が与党だった時代に「0増5減」を決めて野党だった自民党に同意を求めた経緯があるんだから、民主党が反対するのは筋が違う。「0増5減」を含めた抜本改革を、というのは正しいと思うが、抜本改革を待っていたら、いつまでも選挙制度の違憲状態は続く。
とりあえず、というのが方便になって、「とりあえず」状態がダラダラ続くのは許されないとは言え、当面の違憲状態の解消もしないというのは実にまったくおかしな話だ。
で、くーたんを遊ばせて、0時過ぎに就寝。
凄く大きな地震が起きた夢を見て飛び起きた。こういう場合は本当に地震があったはず。だが、枕元のiPhoneを見ても地震があった形跡はない。う~む。
夢の中では、情報が錯綜してiPhoneでもテレビでも地震に関する情報がまったく得られなくてイライラしたのだ。
なにかの隠喩なんだろうか?
本日の体重:計るのを忘れた
本日の摂取カロリー:1815kcal
本日の消費カロリー:日常生活+171kcal/2884歩
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