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2014年4月 3日 (木曜日)

映画屋について考える

 宅急便の配達員のピンポ~ンで目が覚めた。

 9時過ぎ。

 慌てて起きて荷物を受け取る。

 3月31日に買ったオーブントースター。

 取りあえず、今まで30年以上使っていたオーブントースターを退かして、新しいのをセットする。

 ちょうど今日は「燃えないゴミ」の日で、オーブントースターは燃えないゴミ扱いなので、捨てに行く。

 心残りなのは、これまでずっと世話になったね、というお礼をするのを忘れてしまったこと。長い間愛用したものを処分する時は、相手が機械でもきちんと言葉をかけるのがおれの主義だったのに。雨が降ってたからなあ……。

 で、日記を書く。

 小林信彦の「コラムは笑う」を読んで、必要箇所を書き移す。読んだ記憶だけで書くと間違ってしまうしニュアンスが異なってしまうので。

 で、ビートたけしが小林さんを批判したことに反論する部分がなかなか見つからず、時間がかかってしまった。

 いや、それより時間を掛けて書いたのが、映画「Wの悲劇」の盗作疑惑払拭と、この映画における脚色の是非について。

 一度アップしてからも、何度も書き直した。

 書いている時は、意識が「映画屋」に戻っていて、いろいろと弁護というか擁護をした。

 いい作品を作ろうと必死に頑張ってるんだから、と。

 こういう「芸術至上主義」的な事は、「芸のためなら女房も泣かす」上方の落語家から歴史上の大芸術家まで多くの例がある。ほれ、あのワーグナーなんかその際たるものだ。自分の芸術最優先で、バイエルン王国を潰してしまったようなものなんだから。

 そんなデカいスケールの話ではないが、おれの助監督時代、国宝級の日本庭園でロケした時に、監督に命じられるままに庭に生えかけていた木の芽を刈り取って、あとから製作担当(渉外や交渉の担当)にこっぴどく叱られたが、あの時は監督に従わない助監督はありえないよな、と先輩助監督に慰められた記憶とかが走馬燈のように甦ってきて……。

 日記を書き終わったら、お昼を過ぎていた。超大作の日記。

 で、新しいオーブントースターでパンを焼いてみる。3分で焼けるというのは嘘だったが、4分で焼けた。

 焼け具合は前のものと一緒。

 トースト2枚に、スクランブル・エッグに牛乳。

 さて、午後はどうするか。

 資料本を読まなければならないし、プロットも煮詰めたい。

 が、日記を書いた疲れが……って、本末転倒やがな。

 おれにとって毎日の日記は言わば「スターター」で、仕事をスタートさせるための勢い付けという意味もあるのだが、それで疲れてしまっては話が逆やないかい。

 「アラン・パーソンズ・プロジェクト」のボックスが届いているので、LPを買った「ピラミッド」を聞く。

 おお、懐かしい!

 しかしおれは、この中に入っているインストゥルメンタルが気に入ってLPを買ったことを思いだした。自主製作映画の劇伴で使えるな、と思った事も思い出した。

 おれの20代は本当に「映画だけしか頭になかった」状態だったんだよねえ。で、30代になって「このままで大丈夫か?」と思うようになり、助監督としての無能さを実感して脚本家になりたいと思ったけどまるで食えなくて……足を洗ったのだ。

 相方から電話が入って、プロット打ち合わせ。相方のアイディアを取り入れると、話が複雑になってサマになってきた。おれのプランでは枝葉がなくて「つるんとした状態」なので、これじゃあツマらない。

 メモにして送って、と相方に頼む。

 「5時に夢中!」を見る。今日も岩井志麻子/中瀬ゆかりのコンビは最強で、火曜の「岡本夏生/北斗晶」のコンビと合わせてぶっちぎりという視聴者が多いのも頷ける。月曜のマツコ/若林史江もいいんだけど、マツコの毒が強すぎて番組をぶちこわすことが頻繁にある(特に「やっつけ晩ご飯」のコーナーはもう、止めた方がいいと思う)。

 で……面白いのに、寝てしまうのよね。

 頭ふさふさのシャンプーの仕方を見せるコーナーで、実験台としてアンガールズの田中(抜け毛に悩んでいる)が呼ばれて実験。普通のシャンプーで66本の抜け毛。名人のシャンプーではその半分以下。

「二度目の方が抜ける本数が減るのは当然でしょうよ、それは」

 と田中が言うので三度目のシャンプーを普通の方法でやったら50本以上抜けたので「何やってくれてるのよ!この番組は!」と怒っていた。

 18時になって、そろそろメシ……と思うが、外は雨。ほとんど気分は猫なので、雨の中外に出るのは嫌い。

 出前でおかずだけ取ろうかと検索してみたが、それも面倒になって、冷凍うどんできつねうどんを作り、それをおかずにご飯を食べることにする。奥飛騨で買ってきたふき味噌とかキュウリの漬け物やのりたまも活用する。

 19時30分からの「クローズアップ現代」で、袴田事件の冤罪の構図を見る。こんな杜撰な「袴田は犯人という結論ありき」の捜査をよくまあ当時の裁判官は信用して死刑判決を出したな、と驚く。そして当時の検事はインタビューで「再審決定が出た夜は眠れなかった」「証拠は吟味しなければいけないですね」とか言っている。他人事みたいに言うなよ!

 まあ、インタビューに答えたのは偉い。他の面々は取材拒否だったり撮影しない条件で、「あの捜査は間違いだった」と告白したりしてるんだから。

 なのに検察は即時抗告をしたし、静岡県警は「当時の捜査は万全だった」と今も言っている。

 まったく、ひどい話だ。

 しかし「業界関係者」は今でも袴田さんの有罪を信じ、死刑判決を支持するヤツが多いのだろう。冤罪になっても「疑われる方が悪い」という考え方をする連中なんだから。

 テレビをボンヤリ見る。

 「報道ステーション」の途中で風呂に入る。

 温泉でなくても長風呂をすれば、一定の効果があるんじゃないか?血行が良くなるとか、いろいろ。

 「5時に夢中!」でやっていた頭皮に優しいシャンプーをやってみた。

 で……くーたんと遊んで、そろそろ寝ようと思ったら……。

 このブログにあしかわさんの書き込みが。

 で、また、古巣擁護のあれこれを書き連ねて、腹が減ったのでロールパン食べて、自分としては納得して、1時過ぎに就寝。

 しかし……今この日記を翌朝書いているのだが、一晩寝ると、いろいろと落ち着いてきた。

 そして、おれが映画屋を辞めたのは、食えなくて借金が膨らんだこととかギャラが約束通りに貰えないという経済的なことと同時に、「映画至上主義」について行けないと思ったのも大きかったのだ、と気がついた。

 と言うか、映画が何より最優先というのに疑問を感じたのだ。

 よくあるでしょう、街中のロケで、ロケ隊が通行人を止めてるの。往々にしてその止め方がとても横柄で「おれたちはゲージツを作ってるんだからよ」的な態度を取る馬鹿な助監督とかADがいるが、ああいうのがイヤだったのだ。

 そして……そこまで自分は思い込めない、というのに気がついた。「デキる助監督」「カリスマ監督」になるには、とにかく映画至上主義で映画のためなら誰かが死んでも構わないくらいのど根性がどうしても必要なのだ。今成功している映画監督を考えるに、その誰もが、そういう人ばかりだ。過去の顔ぶれを見てもそう。黒沢なんかその最たるものだし、比較的温厚で常識人でもあった市川さんでも現場では「狂った」。

 おれは現場を知らないが、木下恵介とか小林正樹といった松竹系の監督だって、絶対、現場では狂っていたはずだ。

 じゃないと、映画なんか作れない。

 そういう部分がなければ、映画監督としてやっていけないのだ、と悟ったので、おれは、映画を止めようと思ったのだ。

 おれにはそういうど根性はなかった。どうしても頑張れなかった。それに気づいたのだ。

 あの「狂った日々」は、楽しかった。苦しいことも多かったが、楽しかった。みんなで狂えるというのは幸せなことだ。だから、「映画屋を3日やったら止められなくなる」魔力があるのだ。

 だが、一度ふっと醒めてしまうと、もうダメだ。

 なので……映画「Wの悲劇」からスタートして、映画屋全般を頑張って擁護したけど、ついつい熱くなって擁護してしまう魔力があるのだ。しかし、我に帰ると……映画屋って、ひどいよねえ。馬鹿だよねえ、と思う。

 ただやっぱり、もしもおれに金と時間とスタッフとキャストをかなり自由に使える一大チャンスが来たら……やってしまうだろう。映画屋として「狂う」だろう。一世一代とばかりに大いに狂うだろう。じゃなきゃ、いい作品に出来ないんだから。

 それを考えると、小説は軽傷だ。おれたちは合作だから、その分衝突も発生するが、大抵の小説家はひとりで書いているから、ぶつかる相手がいない。プロデューサーの役回りの編集者とはいろいろあるにしろ、大抵の編集者は小説家がいいものを書けるように最大限の配慮をしてくれるし……。

 映画は、下手をすると巨額の借金を抱えて、人生を棒に振ってしまう。狂って頑張っても、必ずしも傑作が出来上がるとは思えない。小説の場合はまだ「次のチャンス」はあるけれど、映画の場合、数億の損失を出してしまったら次はない。テレビドラマの枠は減ってるし、Vシネってまだあるの?CMにしても仕事がない映画監督にそうそう回ってこない。

 ……やっぱりおれは、根性がないから、映画屋にはなれなかった。

 そう思い直して、自分の選択は間違っていなかったと安堵するおれであった。

今朝の体重:90.40キロ(減る基調に入った!)

本日の摂取カロリー:2003kcal

本日の消費カロリー:日常生活のみ

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