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2016年6月22日 (水曜日)

「10 クローバーフィールド・レーン」の感想(☆ネタバレバレ)

脚本:デイミアン・チャゼル/監督:ダン・トラクテンバーグ

錦糸町楽天地シネマにて

Viamain

 いや~~~~~頭のいい映画!

 よくぞ考えついたなあ!素晴らしい!

 恋人との別れを決めて、部屋を出る主人公。

 車に乗ってかなり遠くまで走っている。昼間に出たのに今はもうすっかり夜。

 カーラジオをつけると、電力供給が不安定になっているとか、なにやら気味の悪いニュースが……と思っていると、事故かなにかで車が横転!

 タイトル。

 気がつくと、主人公は地下室のような部屋で、点滴されて足を繋がれている。

 やがて現れる太った初老の男。

 男は「逃げても無駄だ。外では生きられない」と言う。

 この変態かもしれない男に監禁され続けるのか……と思ったら、別の若い男が。この男は「このシェルターを作った。外に居て逃げてきた」と言う。

 男は主人公を拉致監禁して自分のモノにしたい変態か?しかし、そんな風でもないように思える。

 初老の男が言う通り、外には得体の知れないモノがいて世界は死滅してしまったのか?このシェルターに入れてくれと逃げてきた女の存在。しかしこれだって、すべて「グル」かもしれないぞ。

 若い男は「逃げてきて助かった」と言ったが、それだってウソかもしれない。

 時折響く大きな音に、振動。ヘリコプターのような音。

 外で何が起こっているのか判らない……。

 と、全体の2/3くらいはシェルターの中でのみ話が展開する。

 出演しているのは、ジョン・グッドマンによく似た男(いや、本物のジョン・グッドマンなんだけど……最近のジョン・グッドマンは「いい人に見えて実は……」という役が多いなあ)に、タンクトップが魅力的で瞳が理知的にくるくる動く、美人ではないけど可愛いメアリー・エリザベス・ウィンステッドと、もう一人ジョン・ギャラガーJr.の3人と、シェルターに助けを求める顔が変形してしまった女。

 この四人!

 シェルターのセットはよく出来ているけれど、物凄いセットではない。

 いわば、密室劇。

 予想では、この密室劇は30分くらいで切り上げて、シェルターから出た3人が、未知の生物から逃れる展開になる!と確信していたのに……。

 シェルターから全然出ない。シェルターに攻撃が仕掛けられるとか、逃げてきた人たちとの攻防があるとか、シェルターの窓に突然死体がぶら下がってくるといった「スピルバーグ的ショッカー演出」もない。

 なのに、ハイテンションの緊張はまったくダレることなく、ずっと維持される。

 この演出は神業だよ!長編初監督とは思えない。凄い。

 果たして彼らの言うことは本当なのか?外に出たら本当に死ぬのか?外は本当に死の世界なのか?

 メアリー・エリザベス・ウィンステッドのタンクトップ姿も魅力的だが、それだけ眺めていても飽きる。しかし、不気味さはどんどん増していく。

 外がどうなっているのか、知りたい!と観客は完全にヒロインに同化して、ジリジリする。と、同時に、デブのオヤジを悪人とも思えない。で変態チックなところもあるけれど、不格好な救世主、人類を救った神のような存在に違いない。

 今までのこの種の映画の定石は、無垢な主人公が一癖ある救世主を疑うが、最後に理解して感謝する、というパターンだ。この作品も、そのパターンに忠実だ。

 ただ、しかし……いっこうに、このクセのあるオヤジが決定的に救世主になる場面が訪れないし、疑惑が深まる伏線がどんどん張られてるばかり。

 この映画は、どうなるんだろう?

 絶対に、最終的には未知の生命体と戦う、もしくは逃げるんだろうけど……あれは予告変容のウソで、それは主人公の減塩だった、と言うオチだったりして?とか、こっちも疑心暗鬼になっていく。

 

 主人公は、脱出する事を選択して、防護服を自分で作る。ここで、主人公が服のデザイナーらしいと言う伏線が効く。

 主人公の動きを察知する男。

 ここで、男の本性が明らかになる。男は、主人公を監禁したい変態なのだ!しかも主人公以前にここで死んだ若い女がいたのは確定的……。

 脱出計画は露見して若い男は男に射殺されるが、主人公は逃げる!

 そうして、なんとか外に出る。

 鳥が飛んでいる。

 虫が鳴いている。

 と言うことは……。

 手製の防護服を脱いでみるが、息はできるし、なんともない。

 ではやっぱり、あの男の芝居だったのか?

 だけど、この映画でそういうオチで終われるのか?

 と思ったら……。

 予想をはるかに超えた、実に気味の悪い、怖い怖い怖いこわい未知の生物がやって来る!

 金属製の飛行船かと思ったら、それは生物!ギーガーが造形したエイリアン形の、最高に気味の悪い生物!

 こう来たか!と嬉しくなる。こう来なくっちゃねえ!

 主人公は、たった一人で、この未知の生物と戦う。

 そして、勝つ!

 シェルターのあった場所から車で脱出する主人公。カーラジオを聞くと、人類は死滅していなかった。まだ生き残って「未知の生物」と戦っている。バトン・ルージュは安全を確保したがヒューストンは戦闘が継続中。戦闘の経験者を求めている。

 ヒロインは、迷わずヒューストンへ!

 しかし、ロングショットで雷鳴に一瞬照らし出されるのは、主人公がやっつけたのと同型のアレのシルエット……。

 上手すぎる!

 この規模ならば、充分、日本でも作れるはず。でも、作れない。この発想がなかった。こういう話を生み出せなかった。

 いやあ、アメリカ人は凄いなあ!と素朴に、心から感嘆する。

 そうして、この素晴らしいアイディアを、確実に、そしてもっと面白く映像化できる才能!

 もう、完全に脱帽だ。ひれふする。

 前作(感じは似ているがストーリーとしては関連はない)も、とても頭のいい映画だった。しかしこの映画は前作よりもっと頭がいい。

 前作の大ヒットを受けて続篇の製作が発表されたが、全然音沙汰がなかった。調べると、早々に「いいアイディアが出ない」という理由で続篇の製作はストップしていたらしい。

 ずいぶん待たされたけど、待った甲斐があった。

 果たして、「クローバーフィールド三部作」に発展するか?

 メアリー・エリザベス・ウィンステッドは素晴らしい。B級ホラーのヒロインとしてキャリアを重ねていたらしいが、魅力爆発。

 しかし、この映画が一筋縄ではいかなかったのは、やっぱりジョン・グッドマンの功績だろう。善人なのか悪人なのか判らないこのキャラクターは本当に得がたい。コーエン兄弟の映画では常に得体の知れないところがある人物を演じていた気がするのだが、その役柄の集大成という感じ。凄い。

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