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2017年2月27日 (月曜日)

ラ・ラ・ランド

脚本・監督:デミアン・チャゼル

TOHO CINEMAS錦糸町にて

 お帰り、シネミュージカル!

 久々に、映画のための、舞台の映画化ではない、正攻法の「シネ・ミュージカル」が帰ってきた!

 空間を自由自在に使って、映画のマジックも駆使した、映画ならではの、映画でしか出来ないミュージカル!

 シネ・ミュージカルは、オハナシは単純でいい。その代わりに、スターの踊りを見せ、歌を聴かせる。それも、圧倒的な踊りと歌を!

 しかし、それはまあ、「ウェストサイド物語」で変わってしまった。たわいのないオハナシのミュージカルは廃れて、オハナシが重んじられる作品が主流になり……まあこれはほとんど舞台の映画化なんだけど。

 映画のためのシネミュージカルは、近年、ほぼなくなってしまった。「プロデューサーズ」は元々は映画だけど、舞台化されて大ヒットしたので再映画化された……。

 で。

 この作品は、のっけの「大渋滞したハイウェイ」で大ミュージカルナンバーが展開されて、観客の度肝を抜く。

 うわ、凄い!セットではなく、ロケ。しかも、ほとんどワンカットの超長回し。カメラは寄ったり引いたりステディカムを駆使して縦横無尽に動き回る。

 これ、本物の道路を封鎖しての撮影。

 現場のことを思うと気が遠くなる。

 カットを割らないワンカット長回し。それだけでも大変なのに、タイミングを間違えるとNGになるダンスナンバー。それも群舞!

 シネミュージカルに必須の大ハッタリは、大成功!

 あたしゃ、この場面で、嬉し涙を流してしまった。

 こりゃスゲエや!

 アメリカ人が熱狂するのもよく判る……。

 オハナシは、「やりたい音楽」が出来ずに燻っているジャズ・ピアニストと、オーディションに落ちまくっている女優。その夢を実現する葛藤と、二人の恋。

 いいの。ミュージカルはこれくらいシンプルな話しの方がイイの。なんせ歌と踊りを見るものなんだから。

 だから……もっとタップダンスを見たかった!

 ロサンゼルスの街を見下ろす丘で、そろそろこれは……と思ったところで、ジャストなタイミングで二人がタップを踏み出した、その瞬間にはあまりの歓びに狂喜乱舞しそうになった。

 だけど……。

 すぐ終わってしまった。

 もっとね、有無を言わせぬ圧倒的な踊りが見たかった。

 アステアの優雅な踊りでもいいし、ジーン・ケリーのエネルギッシュでアクロバティックなものでもいい、とにかく、呆然とするようなタップやダンスを、これでもかと見たいんだ!

 ライアン・ゴスリングやエマ・ストーンは俳優であってミュージカルの人じゃないから、そういう事を求めるのは間違っているのかもしれないが……ジーン・ケリーやアステアの映画では、「もっと踊りたい!もっと見て貰いたい!」という気持ちがガンガン伝わってきたので……。

 いや、ダンスの場面はたくさんあった。天文台でプラネタリウムを絡めた幻想的な場面は美しいし、クライマックスの「もう一つの人生」を描く長いナンバーも素晴らしかった。

 けど……。

 「バンドワゴン」のセントラルパークでのアステアとチャリシーのダンス、「雨に唄えば」のあの圧倒的な「ブロードウェイ・バレー」と「巴里のアメリカ人」のロートレックなどの絵画を模したダンスナンバーは、連想できた。だけどこれは オマージュと言うより、チャゼルは完全に消化していて、「引用」でもないし「模倣」でもない、オリジナルなモノにしていたが……。

 とにかく、もっとタップダンスが見たかった!

 もっとね、タップダンスのシーンとかダンス・シーンが圧倒的であって欲しかった。湯水の如くダンス場面が現れて、果てることなくタップを踏んで欲しかった。

 踊りを見たいので、ワンテイク撮りに拘ってカメラを振り回していたのが、ひどくうるさいし。

 踊りの場面でカットを割らないのは正解だが、あんなにカメラが動き回ったら、それはダンスの邪魔になってないか?引き画でどん!と撮って欲しいんだよなあ。

 見終わった後口ずさめるメロディもない。

 ラストは、「シェルブールの雨傘」的な、アンハッピーエンドだし……。

 と、見終わった後は不満ばかりが思い浮かんでしまった。

 それだけ、期待していたんだと思う。

 21世紀の今、ミュージカルを作ると、ノーテンキなハッピーなお花畑みたいな映画は作れないだろうなあ、と思う。そんな夢一杯、みたいな映画は完全なウソだし、夢をばら撒くのがエンターテインメントだと言っても、ウソの度が過ぎたらシラケてしまうから……だから、こういう風にするしかなかったんだし、こうでなければいけなかったんだろう。

 でも……。とは言え。

 映画を見終わって外に出て目に入ってきた「夜の錦糸公園」が、いつもとは違うものに見えたのよね。

 なんだか、希望が詰まった夢の空間みたいに。

 主人公の二人がどこかにいるような。

 これは、「絵に描いたような(現実にはあり得ない)ハッピーエンド」にしなかったからか、と思った。

 主人公ミアは、カネはあるけどつまらない男と結婚して女優としても成功している。えーっ!どうしてピアノストの彼じゃないの!

 ミア夫婦はあるジャズクラブに行くと、そこは元カレ・セバスチャンが経営する店だった。思わぬ形で再会した二人は、「もしもの世界」を夢見る。

 それが……とても素晴らしい。圧倒的に素晴らしい!

 ジーン・ケリーとシド・チャリシーが舞った「ブロードウェイ・バレー」と「巴里のアメリカ人」のクライマックス・ナンバーのように、セットを駆使した力の入った場面が展開して……現実に戻る。

 

 これがあるから、なんだか心に残って、翌日、しみじみと感動して、映画を思い出すと泣いてしまうんだろうなあ。

 ひたすらに、この映画が懐かしい。この映画が、妙に恋しい。

 これはもう、もう一度見るしかないか?

 もう一度見たら、挿入歌に親しんで鼻歌で歌い出すかもしれないし。

 よし、近いうちに、もう一度見に行こう!

 しかし、タイトルの「ラ・ラ・ランド(La La Land)」って、どういう意味が込められてるんだろう?

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